太宰治「人間失格」を読む

太宰治人間失格は中学生か高校生の頃に読んでそれ以来読んではいないがこの間本箱を整理していたら文庫本が出てきたので久し振りに読んでみた。

昔読んだときはどういう感想を持ったのか全く覚えていない。それ以来40年以上も読んでいないわけだから全く何も思わなかったのかあるいは嫌悪感とか侮蔑するような感想を思ったのかもしれない。

60歳を過ぎて再び読んでみて今回もまた何も感じなかった。何も感じなかったというのはおそらく主人公の気持ちとか堕ちていく過程に自分はそれほど違和感を感じなかったという事だろう。共感したわけでもなく嫌悪感を抱いたわけでもなくただただ淡々の読み進めていた。周りの人間の好意に知らず知らずに甘えて結局関わった人を不幸にしても自己嫌悪しか感じず責任とか反省をしない主人公に対して自分に近いものを感じたのだろうか、共感ではないが腑に落ちるものがあったのだろう。

わからないがもしかしたらもう一度近いうちに読むかもしれないそういう気にはなった。人間失格は若いうちに読んでもその意味がわからない年を取って自分の人生が失格だったと思う年齢になった時に読むともしかしたら意味が分かる稀有の小説かも知れない。